2025.02.21 ジョンティ・アッシュ

L’école du Vin × gentil H 「Platinum Session」 第3回 ~美酒のカリスマが紡ぐ極上のペアリング~

ジョンティ・アッシュで開催されるレストラン・マリアージュの講師陣は、ワインスクールの枠を超え”奇跡の出演”ともいえるワイン業界で今活躍する方々が登場。

ジョンティ・アッシュの平野シェフのお料理と共鳴する、唯一無二のペアリングイベントです。

 

2月21日(金)に開催された第3回は、

君嶋哲至氏による「美酒のカリスマが紡ぐ極上のペアリング」

君嶋哲至氏が語る極上の一杯に込められたストーリー平野シェフの感性が出会う、一日限りのイベントとなりました。

サーヴはレコール・デュ・ヴァン講師としても大人気の太田賢一ソムリエです。

今年から君嶋 哲至社長にはレコール・デュ・ヴァンの特別講師もお引き受けいただき、

今回がその第1回の特別講座となりました。

 

■君嶋哲至氏 プロフィール

明治25年創業の酒販店「横浜君嶋屋」4代目代表取締役。日本酒とワインの普及に国内外で活躍する酒のスペシャリスト。多数の国際的受賞歴を誇る。日本酒プロモーションや講演活動を通じて文化の革新に貢献し、前日本ソムリエ協会副会長として業界を牽引する。

 

 

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「美酒のカリスマが紡ぐ極上のペアリング」

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1.白アスパラとサヨリのマリネ、サワークリームと山葵のナージュ

NV Pierre Moncuit, Delos Grand Crus Blanc de Blancs Brut

ピエール・モンキュイ デロス グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット

【君嶋社長】

あの、サロン、クリュッグ クロ・デュ・メニルという、一本15万円を超えるシャンパーニュが造られる村、メニル・シュール・オジェ、そのメニル・シュール・オジェの中で超良心的なシャンパーニュが“ピエール・モンキュイ”。素晴らしいミネラル感と心地良い酸味が特徴!

【平野シェフ】

ピエール・モンキュイの柑橘系の爽やかさに春らしい細魚と瑞々しい苦味のアスパラガスのマリアージュ。

サワークリームと貝出汁のソースをマロのニュアンスと同調させます。

【太田ソムリエ】

メニル・シュール・オジェのレジェンド的存在のRM。ピンと張り詰め、鉱物的なミネラルをテクスチャーから感じる偉大なブラン・ド・ブラン。

ペアリング: 柑橘をまとわせたサヨリ、ミネラル豊富なホワイトアスパラ、山葵の清涼感とフレーバーがシャンパーニュと手を取り合い、リズミカルなステップを踏む。魚介の透明感と野菜のほろ苦さが、シャンパーニュのシャープな酸とミネラル感と共鳴する。

2.甘やかなスパイス香るラングルクッルスヴァランシエンヌ、グラニースミスのチャツネチベットペッパー風味

2019 Albert Boxler, Riesling Grand Cru Brand / Alsace

アルベール・ボクスレ リースリング・グラン・クリュ・ブラント / アルザス

【君嶋社長】

このボクスレのワインの収量は、1ha当たり35ヘクトリットル以下という、ブルゴーニュのグラン・クリュよりも少ない収量、特に日当たりの良いグラン・クリュの畑ブラントは、肉厚ながらエレガントで余韻も長い。他のアルザスのメーカーと比べると圧倒的に魅力的なワインである。

【平野シェフ】

牛の舌とフォワグラを使った冷製料理、ラングルクッルス、アルベール・ボクスレのなめらかで熟した果実味と高相性だと思います。シナモンやクローブの甘やかな香りも、フォワグラとワインを繋ぐ要素。

【太田ソムリエ】

圧倒的なスケールをもつRiesling。充実のボディから一転、ピュアで軽快な余韻。どんな状況下でも畑仕事を怠らないというチームAlbert Boxler(先日の現地訪問の際に知った)。彼らのものづくりにおける魂が1杯のグラスから溢れている。

ペアリング: 現地でも定番料理の冷製フォワグラ。オーチャードフルーツのように豊かな表情があっても、味わいはドライなリースリング。牛舌の層が入ることにより、フォワグラテリーヌにはない「咀嚼」が生まれ、ワインのミネラル感と響き合う。リースリングの酸がフォワグラのコクを引き締め、牛舌の食感が余韻の奥行きを生む、ワイン目線で計算された見事な一品。

 

 

3.平目のアラヴァプールとクリアなデュグレレ、フレッシュな金柑のコンディモン

2022 Domaine Rollin, Pernand Vergelesses Blanc Les Cloux / Bourgogne

ドメーヌ・ロラン ペルナン・ヴェルジュレス・ブラン “レ・クルー” / ブルゴーニュ

【君嶋社長】

ワイナート誌が一万で買えるブルゴーニュ・シャルドネで最高得点を取ったワイン。ふくよかでミネラル感と酸味のバランスが良い、まるでコルトン・シャルマーニュのようだ!

【平野シェフ】

ドメーヌ・ロランのペルナン・ヴェルジュレスのハリのある酸やミネラルを活かすため、魚料理は繊細なヴァプールを合わせます。ブルゴーニュのクラシカルかつ洗練されたスタイルに合わせるソースとして、焦がしバターを浮かべたクリアで複雑な旨みのクラリフィエしたソースデュグレレと華やかな金柑のコンディモンを合わせます。

【太田ソムリエ】

ペルナン・ヴェルジュレスの魅力を端正に表現するドメーヌ・ロラン。日照に恵まれたヴィンテージならではの豊かな芳香を、レ・クルーの区画特有の緻密さが程よく抑制。シャルドネの奥深さを静かに語る、クラシックなブルゴーニュ。

ペアリング: 平目のデュグレレを軽やかに再構築。平目のふくよかな旨みと程よいバターのコクが、ワインの酸とミネラルと溶け合い、洗練されたマリアージュを生む。料理とワインの魅力が最大値化されたペアリング。

 

 

4.蝦夷鹿のロースト、さ姫の香るグランヴヌール

2022 Domaine Berthaut Gerbet, Vosne-Romanée / Bourgogne

ドメーヌ・ベルトー・ジェルベ ヴォーヌ・ロマネ / ブルゴーニュ

【君嶋社長】

アメリーが子供の頃から取引してるが、アメリーが醸造長になってから果実味が増し、本当に素晴らしくなっている。買えないワインになってしまう可能性がある。

【平野シェフ】

鹿料理の王道メニューグランヴヌール、これだけでもブルゴーニュのワインとは高相性ですが、ヴォーヌ・ロマネの高貴な華やかさに合わせ、ソースに島根県の奥出雲バラ園のさ姫のフレーバーをプラスします。

【太田ソムリエ】

新時代のヴォーヌ・ロマネ。官能的なアロマとシルクのようなタンニンが特徴で、若いうちから楽しめる魅力を持つが、その奥には熟成によるさらなる進化/深化の可能性も感じる。伝統と革新が融合したエレガントな1本。

ペアリング: 鹿肉のグランヴヌール、バラの香りを添えて。ワインの官能的要素が、鹿肉の野性味を引き立てる。じっくり抽出したソースは、ワインの果実味とシンクロ。バラの香りがワインのフローラルなニュアンスを引き出し、エレガントな余韻へと導く。

 

 

5.糖化米のグラス、八朔とともに

(日本酒)2022本田商店, 龍力 菖蒲溪 生もと特別純米 火入れ

【君嶋社長】

兵庫の特A地域の中でも.秋津と並ぶ最上の土壌の田圃の集落が少分谷(菖蒲溪)である、ここの粘土質は、スメクタイト、シャトー・ペトリュースと同じである。余韻もながく、まさにグラン・クリュの日本酒。水を一滴スポイトで足すと味わいが柔らかくなる。

【平野シェフ】

洗練された穏やかな味わいの、龍力菖蒲谷はデザートに合わせます。柔らかな甘みの糖化米とほろ苦く爽やかな和柑橘八朔とのマリアージュです。

【太田ソムリエ】

生もと造りならではの骨格と奥行きを持ちながら、清らかな米の甘みとシャープな酸が美しく共存。菖蒲溪の水の恩恵を受けた純粋な味わいが、じんわりと広がる。日本酒の技と哲学を静かに伝える存在。

ペアリング(夜の部のみ提供): 糖化米のアイスと八朔。米の甘みがほんのりと感じられるアイスクリームに、八朔のほろ苦さを重ね、清涼感とコクのバランスを取る。酒の持つ酸が八朔の柑橘味と甘さを引き締めつつ、長い余韻を演出するデザートペアリング。

 

 

6.ペドロヒメネスとエスプレッソを染み込ませたスティッキートフィプティング     

(ウイスキー)NV Inchgower Distillery, 11y PX Sherry Cask Strength

インチガウ・ディスティラリー11年 ペドロ・ヒメネス・シェリー・カスク・ストレングス

【君嶋社長】

スペイサイドのシングルモルト、ベルなどのウイスキーのキーモルトのインチガウの原酒を11年寝かし、最後に甘口シェリーにペドロヒメネスのシェリー樽でフィニッシュ!最高のシングルモルト!少し水を加えるだけでもの凄く開く!横浜君嶋屋が、1樽買いつけた完全限定品。

【平野シェフ】

グランデセールはガッツリ甘々でいかせていきます。ペドロヒメネスの樽でシェリーアップしたカスク・ストレングスということですので、おそらく甘やかで多層構造的な香りに対してあえて、シンプルな甘さを脳みそにぶつけます。しかしながらレストランデザートとしての格も保ちたいので、生地には、エスプレッソとペドロヒメネスをアンビベ。

【太田ソムリエ】

PX(ペドロヒメネス)シェリーカスクがもたらす濃密な甘み、カラメルの苦味、スペイサイド港町近隣のインチガワーらしいソルティなフィニッシュが織りなすコントラストが印象的。力強いアルコール感の中に感じる滑らかな口当たりと複雑な余韻。シングルモルトの奥深さを存分に堪能できる一本。

ペアリング: トフィープディングにエスプレッソとPXのアンビベ。キャラメルとバターの芳醇な甘みがウイスキーのシェリーカスクの風味と絡み合い、深みのある味わいを生む。エスプレッソの苦味が余韻を引き締め、全体のバランスを整える。ウイスキーとの相乗効果で、デザートがさらにリッチに昇華する。

ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。

次回、第4回は、詳細決まり次第、ご案内いたします。

次回もお楽しみに!

 

君嶋社長、素晴らしいpairingありがとうございました。

■株式会社横浜君嶋屋 https://kimijimaya.co.jp/

(左より:平野シェフ、畑統括副校長、君嶋社長、太田ソムリエ)

■ナビゲーター

レストラン「Gentil H」 料理長:平野 敬佑

ソムリエ:太田賢一 ワインスクール「L’école du Vin」 講師

Author

君嶋哲至

Satoshi Kimijima

  • 君嶋 哲至 Satoshi Kimijima
  • 株式会社 横浜君嶋屋 代表取締役社長
  • (ワイン、日本酒、ウイスキーの輸入販売)
  • *シュヴァリエ・コトー・デクサン・プロヴァンス(2003 年)
  • *シュヴァリエ・デュ・タストヴァン・ブルゴーニュ(2004 年)
  • *シャンパーニュ騎士団・シュヴァリエ(2008 年)
  • *コマンドリー・ド・ボルドー(2009 年)
  • *名誉唎酒師酒匠(2014 年)
  • *シャンパーニュ騎士団・オフィシエ(2019 年)
  • *グランド・オフィシエ・メートル・ソムリエ(2020 年)
  • *令和 3 年 神奈川県卓越技能者(神奈川の名工)受賞(2021 年)
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